機械的性質の代表的な特性である引張り強さ（破壊するまで荷重をかけた時の強さ）と耐力（変形度合いが0.2％以内のときの荷重）について、他の金属材料と比較します。

【機械的性質】

機械的性質

	マグネシウム合金		アルミニウム合金	鉄鋼	プラスチックス
	AZ91A	ZK60	A380	炭素鋼	ABS樹脂
比重	1.8	1.8	2.7	7.9	1.03
引張り強さ ※１(MPa)	250	325	315	520	96
引張り耐力 ※２(MPa)	160	240	160	400
比強度 ※３	138	180	116	80	93
比耐力 ※４	86	133	59	51
破壊時の伸び (%)	7	13	3	22	60

• ※１ 破壊するまで荷重をかけたときの強さ
• ※２ 変形度合いが0.2%以内のときの荷重
• ※３ 引張り強さを比重で割った値　　　　　　
• ※４ 引張り耐力を比重で割った値

ダイカスト用合金AZ91Aを、代表的な鋳造用アルミニウム合金A380と比較すると

（１）

引張り強さと比強度
アルミニウム合金と比較して引張り強さは同等ですが、比重が小さいので比強度が高くなります。

（２）

引張り耐力と比耐力
実際に使われるときに変形しない範囲の強さを表わしています。比耐力については、マグネシウム合金はアルミニウムより高く、鉄鋼に対しては比強度の場合よりさらに高いことがわかります。

マグネシウム合金は剛性が高く、この性質に関連する寸法安定性もよく、100℃以下の温度では、プラスチック材料と異なり、長時間保持しても変形を起こすことはほとんどありません。

また、電磁波シールド性(電磁波を遮断する性質)が、プラスチック材料にシールド メッキをしたものよりもかなり優れており、ノートパソコン、携帯電話等の電子･電気機器の筺体に向いています。

マグネシウム合金にはまだ多くの優れた特性があります。それは溶融したマグネシウムは鉄とほとんど反応しないことです。これによって鋳造や成形作業に使われる鉄製の治具や工具と融着することがなく

• １、 金型の寿命が長くなる
• ２、 金型の抜け勾配を小さくすることができる
• ３、 かじりが少なく治具類へのライニングが不要となる

などの利点が生まれてきます。これはアルミニウムと大きく異なる点です。

　

このようにアルミや炭素鋼と比較して、魅力ある素材であることは疑う余地のないところです。
マグネシウムをよく知る株式会社 冨士精機だからこそ出来る加工があります。

マグネシウム自体は化学活性が比較的高く、生の状態では水分のある環境に曝されると水素ガスを発生しながら腐食します。合金化されたマグネシウムでも耐食性に劣るので、アルミニウム合金や炭素鋼と同様に何らかの表面処理を施すことが不可欠です。
その手法としては基本的に次の４種類の方法があります。

（１）

化成処理(水溶液中で化学反応を利用して皮膜を作る方法)－防食、塗装密着性が目的であり、低コスト。

（２）

陽極酸化処理(水溶液中で材料を陽極にすることにより、電気化学的に皮膜を作る方法)－アルミニウムにおけるアルマイト処理に相当し、耐食性に優れ、封孔処理や塗装と併用すればさらに高い耐食性と装飾性を与えることができます。

（３）

めっき－マグネシウム合金用として特有の処理工程や処理液が必要ですが、寸法精度、硬さ、耐磨耗性、電導性等を必要とする製品には有効です。

（４）

塗装－他の金属と比べて、下地処理に特に留意が必要ですが、基本的に一般的な塗装処理を施すことができます。

【現在の主流と考えられている化成処理と陽極酸化処理について】

現在の主流と考えられている化成処理と陽極酸化処理について

		仕様１	仕様２	仕様３	仕様４	仕様５
表面処理方法	下地処理	化成処理	化成処理	陽極酸化処理	陽極酸化処理	陽極酸化処理
	塗装仕様	溶剤エポキシ + 溶剤アクリル	溶剤エポキシ + 粉体ポリエステル	電着エポキシ	溶剤エポキシ + 溶剤アクリル	電着アクリル
	塗装膜厚	４０μm	８０μm	２０μm	４０μm	１０μm
	色調	各色指定可	各色指定可	黒色限定	各色指定可	金属色

【マグネシウム合金名】

主な添加元素の記号

A

アルミニウム

Z

亜鉛

Zr

ジルコニウム

上の例でAZ91 合金は　アルムニウムを約９％　亜鉛を約１％　を含む合金で4番目に制定されたもの。
（実際には主要添加元素以外の元素も含まれる）

株式会社 冨士精機は、加工から表面処理までトータルでサポートします！